消化器内科

消化器内科とは

消化器内科とは、胃や小腸、大腸などの食べ物が通る「消化管」と、肝臓や膵臓などの「食べ物の栄養素を体に吸収するための臓器(消化器)」に関わる疾患を診断・治療する診療科です。

消化管と消化器の6つの主な役割

消化管と消化器は、主に以下の6つの役割を担っています。

  • 食べ物の摂取
  • 食べ物の消化
  • 栄養素の吸収
  • 老廃物の排泄
  • ホルモンや血液凝固因子の分泌
  • 血中に含まれる有害物質の除去

消化器は食べ物の消化や栄養素の吸収だけではなく、体全体の調子やバランスを整えるシステムを担っています。ですので、消化器に異常があると全身に症状が現れたり、慢性的な体調不良を起こしたりする可能性があります。

消化器内科のよくある疾患

食道の疾患

  • 胸やけ
  • 逆流性食道炎
  • 周期性嘔吐症
  • 食道がん

胃や腸の疾患

  • 急性胃炎
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 胃腸炎
  • 虫垂炎(盲腸)
  • 腸閉塞(イレウス)
  • 大腸憩室炎
  • 虚血性大腸炎
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 機能性ディプペシア

肝臓・胆のう・膵臓の疾患

  • 膵炎
  • すい臓がん
  • 急性肝炎
  • ウイルス性肝炎
  • 肝硬変
  • 肝臓がん
  • 肝不全
  • 胆石・総胆管結石症・胆嚢炎
  • 胆管炎

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、何らかの原因で胃酸が食道へ上がってきてしまう疾患です。胃酸が食道の粘膜を傷つけ、炎症が起きることで胸やけ・痛みを生じることがあります。生活習慣の改善はもちろん、食道を保護する薬や胃酸の分泌を抑える薬が効果的です。再発しやすいことと、症状が心臓の病気と似ているので、我慢せずに相談していただきたい病気のひとつです。

食道がん

食べ物の通り道である食道にがんが発生すると、食べ物がつまりやすい、飲み物を飲むときに沁みるような痛みを感じる等の症状が現れます。初期の症状は逆流性食道炎にも似ていることもあります。進行して出血を伴うと便が黒くなったり貧血症状が現れたりすることがあります。

食道の近くには胃、心臓、肺等の重要な臓器があるため、食道がんは初期に発見することが何よりも大事です。このような症状のある方は一度ご相談ください。食道がんが疑われる場合は、高次医療機関をご紹介いたします。

胃潰瘍

胃潰瘍とは、胃酸の過度の分泌や胃壁の損傷によって、胃の壁が傷つけられている疾患です。胃酸が患部に沁みこむことで痛みを生じるので、逆に食べ物が胃の中にあるときは痛みを感じづらいのが特徴です。他にも、胸やけ、胃もたれ、吐き気、嘔吐を伴うこともありますが、自覚症状がほとんどない人もいます。

胃潰瘍の患者さんはピロリ菌に感染している方が多く、除菌をせずに治療をすると非常に再発しやすいと言われています。当院ではピロリ菌の検査・除菌も可能です。意外と長く付き合っていかなければならない病気ですので、共に頑張って治療しましょう。

胃腸炎

胃腸内に細菌やウイルスが侵入すると腸内環境のバランスが崩れ、腹痛や下痢といった症状が生じます。胃腸炎の原因は鶏肉(カンピロバクター)、鶏卵(サルモネラ)、刺身(腸炎ビブリオ)、二枚貝(ノロウイルス)と様々です。特にノロウイルスの場合はアルコールで死滅せず、感染力が強いので注意が必要です。感染すると発熱、嘔気、嘔吐、腹痛などの症状が現れます。

胃腸炎に対する特効薬はありませんので対症療法が基本ではありますが、下痢症状が強く脱水が疑われる場合には当院で点滴加療を行います。特にご高齢の方は脱水に気が付きにくいので注意が必要です。

腸閉塞

腸閉塞とは、腸の捻転(ねじれ)或いは痙攣(けいれん)等により、腸内容物の通行ができなくなった状態です。レントゲン検査や触診等で診断します。聞きなじみのない病気かもしれませんが、小児・高齢者、腹部手術後に起こりやすい病気です。

食欲不振、嘔気・嘔吐、腹部膨満感、腹痛などの症状が現れますが、腸閉塞では症状が突然軽くなることがあります。治ったと思って受診を控えるとさらに悪化してしまいますので、ひどい便秘や腹部違和感がある場合でも相談してください。腸閉塞が疑われる場合は高次医療機関をご紹介します。

胆石・総胆管結石症・胆管炎

胆のうは肝臓で作られる消化液の胆汁を保存・濃縮する袋です。胆汁が流れる管を胆管といいます。この胆のうや胆管に何らかの原因で結石(胆石)が生じると、胆石症や総胆管結石になります。結石により胆管が詰まってしまい胆汁が出なくなると、胆管や肝臓に炎症が起きたり(胆管炎)、膵臓に炎症が起きたり(膵炎)します。採血や腹部エコ―で検査をすることができます。膵炎はさらに採血でリパーゼ、アミラーゼ、採尿にて尿中アミラーゼをチェックします。

胆汁は食べ物の脂肪を消化する消化液です。脂っぽいものを食べた後に右季肋部が痛む場合があります。一度胆石が胆のう管に詰まってしまうとかなりの確率で激痛を伴い、さらに入院加療をしなければならなくなります。いわゆる胆石発作です。当院ではエコーや総ビリルビンなどの血液検査、触診等で胆石・総胆管結石を診断確定していきます。

肝硬変

肝硬変は肝炎ウイルス、過剰なアルコール摂取などで引き起こす肝臓病のことです。

肝硬変は感染しやすくなり、黄疸がでてきます。さらに血小板が減少するため出血しやすくなり、食道静脈瘤ができて最後は吐血する場合もあります。さらに腹水がたまることもあります。

腹部エコーにて肝臓の萎縮、腹水、血液検査ではchild-pugh分類(肝性脳症アンモニア、腹水、総ビリルビン、アルブミン、PT-INR)などの精査にて重症度をチェックします。 当院は外来にて腹水穿刺して腹水を大量に排液する場合もあります。安全に排液するため25%アルブミンを使用、さらにCART(腹水濾過濃縮再静注)にてアルブミン等のたんぱく質を濃縮し、自分自身に再度再静注も可能です。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に炎症が起こることにより下痢、腹痛、血便などの症状があらわれます。症状は日々変化し、大腸カメラ(高次医療機関紹介致します)による組織診断後、5-ASAなど当院にて処方して、場合によってはステロイド注腸など使用しながらフォローアップして参ります。

まとめ

消化器の症状は耐えられないほどつらいものもあれば、自覚症状が軽く痛みがあったとしても間欠的(痛みが強くなったり軽くなったりする状態)なものもあり、自分自身で対応・判断をすることが難しい病気が数多くあります。

急なお腹の痛みには、当院にて点滴加療や投薬を行い、重症な場合は高次医療機関をご紹介させていただきます。些細な腹部の違和感がある場合は血液検査・尿便検査・超音波(エコー)検査等を活用しながら、しっかりと診察させていただきます。

はなはた羊クリニックでは、消化器内視鏡専門医の資格を持つ医師が対応いたします。また、当院では足立区民の皆様に胃がん検診や大腸がん検診、肝炎ウイルス検診も行います。気になる症状がある方や、検査・検診を受けたい方はお気軽にお問い合わせください。

記事執筆者

院長 岸 洋二

医療法人社団 恵羊会 はなはた羊クリニック

院長 岸 洋二

専門医
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
所属学会
  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本透析医学会